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Bianchi(ビアンキ) MEGAPRO L(メガプロ L)オーバーホール レストア メンテナンス レポート

WRITTEN BYbiciamore

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W様よりオーバーホールメンテナンスのご依頼を頂きました。

 

名車、Bianchi(ビアンキ) MEGAPRO L (メガプロ L)

フレームセットに各コンポーネントパーツがアッセンブリされた状態でのご依頼です。

 

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マルコ・パンターニが愛した、メルカトーネウノ チームカラーリング。
ビアンキラバーの方なら1台はコレクションしておきたい、ビアンキ史上歴史に残る名車でございます。

 

メインコンポはカンパニョーロ レコード。
PMPのチタンシートポスト、ITMのbigone ステム、パンターニサドルが装着されており、申し分の無いスペックと言えるでしょう。

 

あわせてオーナー様より、カンパニョーロ カムシン アシンメトリックG3ホイールもお預かりしております。
当店にてお買い上げ頂きましたタイヤ リチオン2 イエローと合わせてバイクに装着、納車させて頂きます。

 

バイクの使用状況や用途、保管状態によってコンディションは千差万別です。

 

只今よりご依頼時の状態を徹底的にチェックし、適切なメンテナンスメニューを提案させて頂きます。
トップチューブにプロテクターを装着、テックスタンドへセット。チェック開始です。

 

フロントディレイラー台座が完全に破断しております。このままではフロントディレイラーが現状、取付不可です。

 

IMG_3657                                                         (折れてしまったFDの台座)

 

オーナー様にアウター固定での走行ならば可能・・・・・・とお預かりしました時にお話ししておりましたが、
折角レコードのフロントディレイラーが装備されている事もあり、取付法、解決策を探ります。

 

そこで取付台座を手作業にて慎重に削り、ディレイラーバンド 段差を補うゴム製のシムを装着する事で対処を試みます。

 

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続いてコンポーネントのチェックへ。

 

当時、最高グレードだったレコードのリアディレイラー。一見綺麗に見えますが、上下プーリーの回転が渋くなっております。
フルオーバーホールメンテナンスの際に行う、分解→洗浄→グリスアップの工程で性能を取り戻します。

 

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カンパニョーロ コーラス カーボンクランクの状態は汚れもなく、良好です。

 

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レコード ブレーキキャリパーも状態は良好。
パッドの消耗具合もチェック。残量は十分に残っております。

 

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最高グレードにふさわしいカーボン製レバーが奢られる、レコード エルゴレバー。
若干のすれキズがあるものの、動作に異常は見られません。

 

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独自に開発したアルミ製の多関節アウターピースを採用 インナーケーブルへのストレスを低減し、上質なシフト、ブレーキフィーリングを提供する nokon(ノコン)製のアウターケーブル。

 

表面にくすみが見られますが、使用には問題ありません。

 

再度組み付けの際にアウターピースの長さを調整し、適切な長さでケーブルの取り回しを行います。

 

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続いて塗装面のチェックへ移ります。

経年劣化によるクリアー層のくすみ、細かいキズがフレーム全体に見られます。

 

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こちらのメガプロはまだビアンキのレース部門、レパルトコルセがイタリア本国にて生産、塗装を行っていた

時代のバイクとなります。

現代のバイクに比べ、塗装の品質にバラつきがありますのでデリケートに扱わなければ塗膜を痛めてしまいます。

 

コンポーネント、各パーツの撤去後、細心の注意を払い、念入りに洗浄&コーティング作業を行わせて頂きます。

 

 

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一通りバイクのチェックが完了。

現状のバイクの状態を一通り把握させて頂きました。

具体的なリペア&メンテナンスの工程、対処法を考えた後、これよりコンポーネント、 各パーツをバイクから取り外していきます。

 

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バーテープはビアンキ純正バーテープに交換させていただきます。

剥がす際に出来るだけ糊が残らない様、ドライヤーで加熱しながら剥離します。

 

アウターケーブルを固定していたテープも同様に除去。

インナーケーブルを固定しているボルトを緩め、インナーケーブルを撤去します。

 

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ブレーキケーブルも同様に撤去します。

 

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一通りインナーケーブルの撤去が完了。

各アウターケーブルにダメージは見られませんでしたので、一本一本丁寧に表面の汚れを落とし、

フリクションを抑えるべくルブを注入し、再度組み込みます。

 

続いてコンポーネント、ドライブトレインを撤去。

各固定ボルトを慎重に緩め、各パーツを取り外します。

 

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コーラス カーボンクランクセットの取り外しに入ります。フィキシングボルトをアーレンキーで緩め、 取り外した後、

コッタレスクランク抜きを歪みのない様、まっすぐ取り付けができているか確認し、レンチで締め込みます。

 

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BBシェル下のケーブルガイドを取り外し。

 

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BBを専用工具を用いて外します。

こちらのメガプロはBBシェル幅68mm、JIS規格となりますので右ワンは逆ネジ、

つまり時計回りに回す事で緩みます。

 

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左ワンはJIS、ITA規格、どちらも正ネジです。

反時計回りに緩め、BBを撤去。

 

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TOKEN製のBB。状態は良好。

回転も極めてスムースです。

 

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ブラケットフードを捲り、クランプ部のボルトを緩めエルゴレバーを取り外します。

 

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ステムの固定ネジを緩め、ドロップハンドルを取り外します。

 

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ヘッドキャップを緩め、ステムとコラムスペーサーを取り外します。

 

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ヘッドパーツを固定してるシムを外し・・・・・

 

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ヘッドパーツを取り外しフォークを引き抜きます。

上ワン、下ワン共にグリスが残っており、錆、歪み等ダメージは見られませんでした。

古いグリスを除去しクリーンアップを行います。

 

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ボトルケージ取付ボルト、ダウンチューブ上のアジャスターボルトも取り外します。

 

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一通りコンポーネント&ドライブトレインパーツの撤去が完了。フレームセットの状態へとリセットが完了しました。

 

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続いてフレームのクリーンアップへと・・・・・・・・・

 

フレーム各部の汚れ、キズ等を念入りにチェックし除去します。

 

 

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二か所に設置したスポットライトでフレームの塗膜を隅々までチェック。

フレームにFD台座破損以外の大きなキズ、ダメージは見られませんが、

衣類が擦れたり、メンテナンスの際についたと思われる細かい磨きキズがトップチューブから全体に見られます。

 

近年では多様なメーカーから各種、優秀なコーティング剤、ワックス等が出回っており、

洗車→塗布するだけで良好な光沢を得られるモノも少なくありません。

 

しかし、当メカニックから言わせて頂きますとそれらは一時的な誤魔化しに過ぎません。

BICI AMOREでは一台一台、フレームの塗膜、状態にあった下地作業を行い、

除去可能な汚れは全て洗浄、細かい磨きキズ、くすみや黄ばみは専用のコンパウンドを使った手作業による研磨を実施し、

本来の塗膜をある程度健康な状態に持ち込んでからコーティング作業を行わせて頂いております。

 

専用の洗剤によってフレーム表面の汚れを落とします。

 

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BBシェル周り、ブレーキ取付部もご覧の通りクリーンアップ。

 

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洗浄によって汚れを落としきったフレームを様々な視点からチェックを行い、

問題が無ければ下地処理~コーティング剤を塗布し、じっくり馴染ませます。

 

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妥協のない作業から生まれた極上の艶。

鮮やかなイエローとチェレステのグラデーションが美しいメルカトーネ・ウノカラーをよりいっそう引き立てます。

 

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コーティングを行ったフレーム&コーティング施工前のフォーク。

発色、塗膜の透明感の差は歴然ですね。

 

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適量のグリスを上下ワンに塗布し、ガタのないようフォークを正確に取付します。

 

 

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フォーク脱落防止の為、ステムを仮装着。

コーティングの仕上がりを確認後、各コンポーネントのクリーンアップに移ります。

 

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取り外したコンポーネントパーツの様子です。

どのパーツも汚れ、年式相応のキズが見られますが大きなダメージは見当たりませんでした。

これより各パーツを更に分解、洗浄を行い、正確に動作するよう可動部にグリスアップを行う等

当メカニックが一つ一つ吟味し、

再び組み付け完成した際に、新車もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮できるよう

当店独自のチェック項目に基づいて仕上げを行います。

 

 

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リアディレイラーを分解。

プーリー、ケージ周辺に汚れが見られます。

 

BICI AMOREでは各パーツをクリーンアップする際、必ず分解し、

分解したパーツごとに分けて丁寧に一つずつ洗浄を行います。

水を使い洗剤を用いて丸洗いをしましても、必ずどこかに汚れの落とし忘れであったり

水分の拭き忘れがあるものです。

それらを放置しますとサビ、固着の原因となり、動作不良を起こす・・・・・・

クリーンアップの方法一つでパーツの寿命が長くなったり、短くなったりもします。

当メカニックが各パーツ一つ一つを吟味し、適切なクリーンアップ&グリスアップを施します。

 

 

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分解、洗浄を済ませたリアディレイラー。

可動部、プーリーにそれぞれルブ、グリスを塗り組立てます。

 

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オーナー様よりお預かりしておりました、 カンパニョーロ カムシン アシンメトリックG3ホイール。

 

スポークの本数を減らし、前モデルに比べ100g近い軽量化を実現。

リアホイールはリムを非対称にしスポークホールをオフセットすることで反応性をより向上させたNEW カムシン。

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当店にてお買い上げ頂きましたタイヤ リチオン2 イエローを装着。

耐パンク、摩耗に強くコストパフォーマンスに優れ、デイユースにはピッタリのタイヤです。

 

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お預かりしておりましたカセットスプロケットを専用工具を用いて装着。

 

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リアディレイラー、前後ブレーキキャリパーを装着。

仮止め後、動作を確認しトルクレンチを使用し適正トルクで締め付けます。

 

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BBシェル内部をクリーンアップ後、グリスを塗布。専用工具を用いて左右BBカップを強めのトルクで締め込み、装着。

 

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クランクセットの装着。

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クランクの固定が完了後、チェーンリングに歪みがないか目視で確認を行います。

 

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破損しておりました取付台座

工具を駆使し手作業にて慎重に削り、ディレイラーバンド 段差を補うゴム製のシムを装着する事で対処。

当メカニックにとっても初の試みとなる処置。

これから永くお乗り頂く上でトラブルが起こらない様、緻密に作業、セッティングを行います。

 

 

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チェーンガイドとアウターギアのクリアランスを確認し、位置決めを行います。

 

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BB下にケーブルガイドを装着。

勿論、レール部にはグリスを塗布します。

 

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ハンドルバーの取付。

ドロップハンドルにエルゴレバーのクランプを通し、左右にぐらつきの無いよう締め込みます。

 

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メインコンポーネントのアッセンブルが以上にて完了しました。

これよりケーブル類の 取り回しを行います。

 

金属製のピースを数珠繋ぎにし、内部を通るライナーでつなげる独特の仕組みであるnokon アウターケーブル。

ボールジョイントのように自由自在に曲がり、かつ収縮がおきない構造で、シフトケーブルにもブレーキケーブルにも理想的な性能をもたらします。

 

お預かり時はやや長い箇所がありましたので、ピースを抜き適切な長さへリセッティングします。

 

 

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位置決め、取り回しが完了しましたらビニールテープを用いてハンドルバー に固定します。

 

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各アウターにルブを注入。インナーケーブルをエルゴレバー内部から通し・・・・・

前後ディレイラー、キャリパーブレーキに固定。

初期伸びを取った後、各アジャスターボルトを操作し変速調整とブレーキシューの位置決め、セッティングを行います。

 

 

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オーナー様からお預かりしたKMC 10speed チェーンを装着。接続には同社のミッシングリンクを用います。

 

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オーバーホール開始時に取り外しましたサドルとシートポスト。

 

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こちらも他パーツと同じく分解、洗浄を行います。

サドルのレール、ベース部にこびりついた汚れを丁寧に除去。

 

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シートクランプ一つまで丁寧に洗浄、ボルトにグリスアップを施し、バイクに装着。

 

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以上で無事、全てのコンポーネント、パーツの分解、洗浄、リペア、装着が完了しました。

 

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これよりテストペダルを取付、このバイクを組み上げたメカニック自らが試乗を行い、

実走によってバイクに負荷をかけ、シフト&ブレーキパフォーマンス、 異音がないかどうか等を当店独自の点検項目に沿って徹底的にチェックし、納得するまでメンテナンスを繰り返し行います。

 

 

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日本有数の高級住宅街、芦屋。

洗練された夜の街並みの中、バイクのチェックを行いながら様々な負荷を掛け、

異常がないか確認、シフト、ブレーキパフォーマンスのチェックを行いました。

 

ディレイラーバンドを装着し使用可能となったフロントディレイラーもスムースに動作しております。

流石はカンパニョーロ レコード といったところでしょうか。

各パーツの増し締めをトルクレンチで行った後

アクセサリー類の装着に移ります。

 

ボトルケージ取付台座に固着防止の為グリスを塗布し、ボトルケージを装着します。

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サイクルコンピューター、ペダルの取付後、

ビアンキ純正バーテープを巻き、付属品の取付が終了しました。

 

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トルクレンチによる各パーツの固定確認、実走による最終チェックが終わりました Bianchi(ビアンキ) MEGAPRO L(メガプロ L)

最後に店内にて写真撮影を終えた後、オーナー様の元へ納車させて頂きます。

今後、バイクコンディションの維持、向上にかかせないメンテナンス法など

ご相談いただければいつでもアドバイス、ご希望に沿えますメンテナンスメニューの提案をさせて頂きます。

 

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この度は bici amore フルオーバーホールメンテナンスをご依頼頂きまして誠にありがとうございました。

今後とも末永い御付き合いの程、宜しくお願い致します。

 

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TEL/FAX   0797-38-5581

メールアドレス info@biciamore.ne.jp

担当 阿藻

 

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