アメニモマケズとは言うけれど……~ツールドかつらおロードレース
WRITTEN BY川ちゅん blogこんにちは、南麻布店のかわちゃんです。
久しぶり……本当に久しぶりにレースに出てまいりました。
例年なら3月末くらいからロードシーズンに入り、
4月の東日本ロードクラシックからシーズンインの予定だったのですが、
今年はコロナ禍の関係でシーズンインが遅れに遅れ、
6月末になってのシーズンイン。
▲今回のコースレイアウトとにかく上るコース
今回参加しました「ツールドかつらお」とは、福島県の浜通り地域にある葛尾村で開催される、いわゆるローカルレースではあるのですが、ここしばらくレースのない状況下というのもあり、足自慢の有力選手がこぞって集まり、レベルの高いイベントとなることは、レース前の下馬評から伝わってきていました。
自分の所属する実業団チーム「ウインディー筑波」のチームメイトらは
用意周到にZWIFTなどでパワートレーニングに励む中、かく言う自分は……
ローラー台の環境が作りづらい公団住宅住まいというのもあり、コンディションは合わせてきてフィーリングは悪くないものの、はっきり言って体の仕上がりは遅れているな、という印象のままレース当日を迎えました。
▲帰宅困難地域の近くで開催されるためところどころこういう看板が……
実際レースの前の週にコースの試走へ行きましたが、コース終盤の登坂区間「もりもりランド」は同クラスを走るチームメイトよりも3分近くも遅く「これではレースにならないな…」という状況。
自分が出走するのは上から二つ目の「2クラス」ではあるのですが、上位入賞はおろか、先頭集団のゴールもかなり難しい状況というのはレース前から自覚していて、とにかく怪我無く完走、レース終盤の登坂区間までは何とかメイン集団に残れたら……という目標でレース当日を迎えました。
この時期というのもありレース当日の日曜日は梅雨空らしい土砂降りの雨。
マスクをつけて検温をし、スタートサインにチェックを入れてもらい
ジャージにゼッケンを張りスタート前の準備へ。
今回はウェットレースというのもあり、普段この時期なら使わないイナーメのCX用のアロマオイルを足に塗りたくり、タイヤの空気圧はフロント5.0bar リア4.9barと、かなり低圧でタイヤを潰して曲がるセッティングに揃えました。
特に今回のコースは高速で下るつづら折りの区間や、テクニカルなセクションがあり、とにかくこの区間の操縦性に重点を置いて、万が一の時にでも常にコントロールできるバイクというのを意識。
レース前にチームメイトと記念撮影をしてスタートラインへと向かいました。
▲クラス1と2に出走したチームメイト、左から山崎、丸山、自分
同じクラスにはなぜか以前の職場の知り合いが出走していたり、ビチアモーレのサポートしているリンクビジョンの選手らも多く出走していて、降りしきる雨の中、久々に会う顔に挨拶したりと少しリラックスしたムードに。
しばらくするとモトを先導にローリングスタートが切られ、あまり下がり過ぎないようにを意識しつつ、70人ほどの集団のなかでおそるおそるペダルをこいでいきます。
コースはおおよそ30km弱のコースで、
最初の5kmほどはモトに先導されるローリング区間。
この5kmはやや細い道の下り区間で、一応は「追い越し禁止」のインストレーションランなのですが、隊列の中ではそれぞれの選手が位置取りをしたり、上がったり下がったりもあって、バイクも密集して相応に神経を使う時間。
自分もあれよあれよと後方へ追いやられないように、確実に位置をキープしながらバイクを進めていきます。
伸びたり縮んだりをしつつ、だいたい3kmほど進んだところで、自分の右側に来た選手が、あまりこちらをマークしていなかったのか、自分の方へじりじりと寄ってきて自分と軽くハンドルが接触。
「危ない危ない!」と言われたものの、前後左右は密集しており、そんなこと言われても……と思いつつ、そのままキープしてたら突然自分の右側で落車が!
自分も軽くハンドルに当たられ、何とか押し返すように耐えたので何事もなかったが、後方では結構な音がして、ふと振り向くと何人かの選手が巻き込まれひっくり返っていて青ざめる。
まさか自分がやってしまったかと思い、軽く動揺してちょうど近くにいたリンクビジョンの山田監督に
「俺、やっちゃったかなぁ……」と話しかけると
「いや、関係ないっしょ、アイツちょっと動き怪しかったし」
とフォローしてくれてちょっとホッとする。
下り区間が終わり左へターン、2~3%のゆるやかな上りが続く区間に入るとモトのクラクションが鳴ってリアルスタート。
直ぐにペースが上がるがアタック合戦という感じではなく、自分も前方キープでじわじわと踏んでいく。
雨は相変わらずの土砂降りで、前の選手の巻き上げる水しぶきが猛烈に顔から全身に吹きかかる。
しばらくすると、先ほどローリング中に話した山田監督が、自分の右側から前方へ上がっていくのが見え、自分も彼の後方につきそのまま集団の前方へ上がっていく。
基本的に上りばかりのコースなので、どこまで集団上位に位置してられるかわからないけれど、スタートしたからにはやれるだけはやるしかない。
せめて、コース中盤にあるKOMポイントまではなんとかメイン集団に残りたい。
コース序盤、順調に集団前方をキープしてレースを進めていく。
心拍も足も概ねOK、どこでペースが上がるのかわからないので自分がどれだけ走れてるのか不安ではあるが、早々とちぎれてしまうという感じではなさそうだ。
途中、隣にチームメイトの丸山さんが来た時に「あの選手に気を付けたほうが良い」とひそひそと意見交換をする。
丸山さんは自分よりもクライマー寄りの脚質なので、ルーラー気質の自分よりも確実に上位でゴールするはずなので、中切れて迷惑かけるわけにいかないのもあり、中盤に差し掛かるころに彼を先に行かせ、自分は丸山さんの後方へ回った。
コースの中盤、道幅が狭くなる連続したジャンクション(交差点)でセレクションがかかり、集団が縦に伸びて若干ペースが上がる。
自分もなんとかこぼれないようにと踏んで耐えるが、しばらく高出力で踏み続けると腹が痛くなり「いよいよキツくなってきたな……」と自覚する。
振り返るといつの間にか集団の後方へ落ちてしまっており、なんとか集団のしっぽにしがみつこうと歯を食いしばる。
苦しい……!!
結局、何とかコース中盤にあるKOMポイントの入り口までは集団後方にしがみついていたものの、上りでアタックが入ったのか、前走者についていけずついぞに集団脱落。
そのあとは気持ちを切らさず完走を目指すレースとなった。
淡々と自己ベストで走っていれば、前からこぼれて来た人を抜くこともできるかと思ったものの、レース終盤のもりもりランドの上りまではひたすら一人。
10秒くらい先にさいたまサイクルプロジェクトの選手が小さく見えているが、踏んでも踏んでも追いつかない。
そのまま抜いたりも抜かれたりもせずにコース終盤の登坂区間「もりもりランド」へ。
約2.8kmの平均8%程度の登坂区間だが、事前試走でコースのイメージは出来ているので、ギアなどを合わせてマイペースで淡々と上っていく。
上り始めてすぐに試走の時より走れているな、調子がいいなという「上れている」感覚があり、ペースを崩さないように一定のケイデンスで確実にバイクを進めた。
とは言え登坂区間で序盤でちぎれてしまった選手二人ほどに後方からスパーンと抜かれてしまい「調子よくてもやっぱヒルクライムは遅せぇなあ自分…」と思いながら走る。
ピークを越えるとあとはゴールまで7kmほどの下り区間。
つづら折りの下りは空気圧が功を奏したか、リズム良く下ることができ前走者を一人パス。
ラスト5kmの緩斜面の下りセクションはひたすら50x11Tのトップギアで踏み倒し、得意の高速巡行でどんどんと前走者に追いつき攻め込んでいく。
さすがに一人で走るよりもパックを組みたいので、前走者に追いつくたびに「パックを組もう!」と呼びかけた。
そんな中、山中湖サイクリングチームの選手と矢板アローズの選手が協調してくれて、3人パックでローテーションをしながらペースを上げて順位を挽回していった。
山中湖の選手は見るからに苦しそうで、死にそうな顔をしていたがそれでも頑張って後ろについてくれた。
よく見ると彼のバイクがBianchiのTROFEO、30年前のクロモリバイクで目を疑った。
たしか国内生産時代のTANGEのプレステージのチューブだったような……とか思いながら前を引いた。
▲ゴールシーン、後ろの二人は例のパックで一緒に引き連れてきた選手
結局このラスト5kmくらいの区間で5~6人ほど抜いた上に、そのまま二人を引き連れたまま最後まで踏み抜いてゴール。
最終順位は52位(67出走)
トップから4分48秒差という結果になりました。
ちなみに一緒に出走したチームメイトの丸山さんは1分前のにあったひとつ前の集団でゴールしており、せめてその集団でゴール出来れば3~40番手台……
と、レース前からわかってはいたものの、悔いのある厳しい結果に反省。
レース中盤に集団から落ちてしまったのは単純に地脚の差もあるのですが、
おそらくアップ不足による腹痛もあるのではないかと、レース前はちゃんと心拍を上げて体を高強度にならしておくのが必要だなと痛感。
次回はやっと再開のJBCF 群馬サイクルスポーツセンターのE3です。
このコースもはっきり言って自分では全然勝負にならないだろうなという、
厳しいアップダウンのコースですが、自己ベスト目指して頑張ってきます。
今日の一曲は雨のレースでしたので、雨の曲ということでこちら。
Rod Stewart / Have You Ever Seen The Rain
雨の曲といえばド定番でしょうか……
71年のオリジナルバージョンも良いのですが、やっぱり個人的にはロッド・スチュワートのカヴァーを推したいということで!
タイトルは「雨を見たかい?」というニュアンスですが、
今回のレースは雨どころか浴びるほど雨を感じましたね!
でも、面白いことにレース始まってしまうと、意外なことに雨とかあんまり気にならないんですよね。
レース前は濡れるのやだなあとか、いろいろ思うのですが。