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十字架を背負って走れ!コルナゴ・マスター・ストーリー

WRITTEN BY川ちゅん blog

こんにちは、南麻布店の川崎です。
さてさて、私の喋っている動画は見ていただけましたでしょうか?
(自分は怖くてなかなか見れません……!)

実は台本なしでしゃべってるんですが、クロモリも楽しいですよ、という感じ伝わっているといいなと。

動画の中でもクロモリの代表的なモデルをいくつか挙げてますが、今回はその中でもコルナゴ、マスターというモデルが「チョットワカル」小話を書いてみます。

▲コルナゴ・マスターといえば、この鮮やかなアートデコールカラーが有名。

コルナゴの現行ラインナップにも存在するこの「マスター」というモデル。

ちなみに「X-Light」というのが現行モデルのサブネームです。
過去には「マスター・オリンピック」や「マスター・アラベスク」などがありました。

このマスターと呼ばれる一連のモデルは、ジルコ加工と呼ばれる「星型」に加工されたチューブが特徴です。

このチューブはイタリアの自転車用のチューブ(パイプ)サプライヤー、コロンバスとの共同開発されたもので「星型」のチューブと雑誌などで書かれますが…
実際には4つの頂点を持った「十字型」の方が分かりやすいかもしれません。
この形状になるまで、かなりの数の試作を作りテストされたようです。

目的はそれまでのフラッグシップモデル「スーパー」に代わる新しい世代のレーシングバイクの開発。
テーマは「より高剛性」という目的で開発されていたようです。

当時のコロンバスのトップグレードに位置したレーシングクロモリチューブ「SL」をベースに、冷間圧着加工でこの「十字型」に。
冷間加工というのは、熱を加えず常温で工作機械にかけて加工することですが、自分はこの加工を見学で見たことがあるのですが、これも職人さんが一つ一つ、少しづつ力をかけて曲げて作るんですね。
かなりの手間がかかった加工だというのが想像できます。

マスターの初登場は83年、その頃のフレームには「コロンバスS4」のギャランティデカールが貼られており、これは「SL」チューブの「4頂点加工」という意味合いではないかと推測されます。

そんなコルナゴを代表する選手といえば「ジュゼッペ・サロンニ」選手。
彼は70年代から深紅のコルナゴを駆り、数多くのレースで勝利、コルナゴの総帥エルネストのフルサポートでジロ・デ・イタリアでも総合優勝だけでなく、ポイント賞も何度も獲得する豪脚でした。

そんな彼がエルネスト・コルナゴに要求したリクエストが「スーパーに代わる、より高剛性なバイクが欲しい」

▲コルナゴ・スーパーのフレームは普通の円形パイプが特徴
真紅のコルナゴはサロンニの駆ったコルナゴのカラーリングだ。

サロンニは「ライフルショット」と呼ばれるような切れ味のあるアタックが持ち味。
有名なレースは82年の世界選手権、ゴール目前、勝利に向かって独走リードしてしていたグレッグ・レモンをまさかの射程外からの爆発的なアタックで、一気に先頭へ躍り出てチャンピオンをかっさらった走りでしょう。

▲その名シーンの映像、彼の赤いコルナゴもちゃんと見えます。

 この時、彼に供給されていた「コルナゴ・スーパー・メキシコ」はコロンバスSLのチューブを使い、当時としては軽量で最高のバイクの一台でしたが、サロンニの脚の下ではまだ剛性不足だったんですね。
しかし、「SP」などパイプの厚みを増したチューブを使えば剛性を確保できるけれど、重たくなってしまう。
軽さと剛性、その両立を目指したバイクこそが「マスター」だったのです。

そんなストーリーもあってマスターのバイクのキャラクターとしては「剛性重視」

クロモリバイクは全体的にしなやかだとか、シルキーだと語られることが多いのですが、その中でもマスターは現代のカーボンモデルほどではないものの、剛性高めで辛口な乗り味なんですね。
実際、グーグル検索のサジェストでは「マスターエックスライト 疲れる」というワードが出てくるという…

初登場から30年以上、その時代時代でマイナーチェンジをしながらも、現行でもコルナゴのラインナップに並ぶ「マスター」

しかし、こんなレガシーがバイクがまだ手に入るというのは、本当にすごいことです。
(ちなみにビチアモにもいくつか即納の完成車、フレームもございますよ!コチラ

そんなコルナゴ・マスターのレガシーに添えたい今回の一曲は OdesseyのGoing Back To My Roots をセレクト。

オリジナルは77年のLamont Dozierによるモータウンサウンドですが、やはりマスターが登場した80年代初頭にカヴァーとしてヒットした、Odesseyのディスコアレンジヴァージョンをチョイス。

個人的には90年代のFPI Projectのヒットも印象深いのですが、オリジナルのやや泥臭いトライバルなサウンドに対して、心地良いピアノの連打が強調され、明るく開放的なムードが特徴。
この曲は先に話したように、90年代にもイタリア発のハウスサウンド「イタロハウス」としてヒットするんですが、ハウスシーンでイタリアが強かった時代があったんですよホント。

歌詞も「靴を履きなおして、自分のルーツを辿ろう」という歌いだしで、これはレーシングバイクのルーツ「クロモリ」を辿るのもまた面白いものですよ、ということで今回、どうでしょうか!

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