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温故知新 かつて世界を制したスーパーハブ!

WRITTEN BY川ちゅん blog

こんにちは!はじめまして。
南麻布店でメカニックをさせていただいてます、スタッフの川崎です。
さて、ブログにて登場するのは初めてな自分ですが、そんな僕のことよりもこちらをお先にご紹介します。

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サンツアー・シュパーブプロ トラックハブ32H

泣く子も黙るサンツアー!

サンツアーと言えば、あの中野浩一の世界選手権での10連覇を支えたことで有名なコンポーネントブランド。
なかでもトップグレードに名付けられた シュパーブ(Superbe)は、当時の技術の贅を尽くしした、超一級品と言えるでしょう。
当時もデュラエースのライバルとして、レーシングシーンで存在感を示していました。

そんなシュパーブのトラックハブが入荷してまいりまして、コンディションこそそこそこではありましたが、せっかくの超一級品モノですからオーバーホールをしてみました。

サンツアー・シュパーブのハブは、おそらく三信技研が製造を担当していたものだとは思われますが、いずれにしてもその三信技研も90年代半ばで解散しており、その技術に触れられるのも市場在庫のみとなっております。

さてさて、ハブベアリングはカップアンドコーン方式ではあるんですが、樹脂製のダストカバーはもう生産されて30年近く経つと思われるものの、劣化もなくしっかりとしています。

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▲見た目以上にしっかりとした作り、うむ、これは安物ではない。

ショップコーンレンチで開いてみると、なんとダストカバーの下にはラバーシールが。

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▲JAPANと刻まれた文字も誇らしい、メイドインジャパン。
一番日本のものづくりが輝いていた頃のものです。
シールドベアリングではないのに、ラバーシールが付けられていることに驚きです。

ラバーシールによる防塵性と、カップアンドコーン方式による絶妙な玉当たりセッティング、その両立のバランス、なるほどこの設計……

ラバーシールを慎重に外すと、リテーナーが顔を見せます。

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▲ワンやボール自体はきれいですが、やはりグリスが劣化していてここはクリーニングし直して、再びグリスアップしてやる必要があります。

ちなみにグリスもメイドインジャパンのスペシャルハブグリスを注入。

粘土はやや中粘度のものをチョイスしたので、スルスル空転する感じではないものの、極圧環境下でも安定した油膜を保ってくれるもので、走り出せばそのスムースさ、特に蹴り出しの時のストレスには抜群の性能を発揮してくれるはず。

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そして、やはりサンツアーと言えばこの金属表面処理の良さでしょう。

磨けば深みのある金属光沢に思わずうっとり。
単に深みと言うよりも、しっかりと光沢が出るんですよね、白っぽくならない。

ハブに刻まれたSUNTOURの文字も、非常に強く刻まれており、磨き込んだところで薄くなったり消えてしまったりもしない、ただのプリントじゃありませんね。

32Hですから、やはりトラックレーサー向けでも、ライトウェイトなキャラクターと言ったところでしょう。
今でこそ28Hを下回る、空力コンシャスな少スポークハブは多いですが、この当時はハブと言えば32Hか36Hでしたからね。

最後はコーンレンチで玉あたりを調整。
ガタが出ないレベルで極力スルスル回転する塩梅を探っていきます。

もちろん、グリスもしっかり封入してますので、シャーッとセラミックベアリングのように回転するセッティングではありません。
しかし、走行中路面からの突き上げとライダーのペダリングによるストレスを、もろに受けて回転し続ける場所。
あらゆるショックやストレスにおいても、噛んだり滑ったりせず、安定した回転を約束する潤滑と玉あたりが大事なところです。

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まさに現代におけるオーパーツとも言える、サンツアー・シュパーブプロのトラックハブ。

100%のメイドインジャパン。

表面の金属加工処理から、レターの強靭なマーキング、見た目だけじゃない凝った作りのハブベアリング。
今、ここまで凝った名品はなかなか、そう見当たらないのでは無いのでしょうか。

さてさて、そんな麻布スペシャルチューンな逸品が外神田店に入荷して……した瞬間に売れてしまいました!
なんということでしょう……う~ん、まさに早いもの勝ち、良いものは良いということでしょうか。

今後もこんなカタチで、良品をここでどんどんアナウンスしてまいります。
ぜひ、今後も「亜熱帯」に熱いビチアモーレ南麻布店にご注目ください。

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